2003年08月13日

陽性転移

まず、最初に精神分析学で言うところの"転移"という現象について紐といてみましょう
これは本来、両親や家族に向けられていたはずの乳・幼児期のもつれた感情(これが"コンプレックス"です)が、形を変えて今によみがえり、無意識のうちに治療者に向けられるものです。この幼児期のもつれた感情こそがその患者さんの病理を形成している場合が多いので、この転移の感情をそのままにしていたのでは治療は進みません

"陽性転移"は大雑把に言うと主治医やカウンセラーに恋愛感情をもつという意味合いです
これが、非常に厄介でして感情を抱かれた主治医やカウンセラーも人間ですので勿論「好きです」と言われて嫌な気分にはなりませんが、それ以上の関係にはなれないので困るみたいです
正しく、正確な治療ができないからです
主治医やカウンセラーはそんなのは聞き流してしまえるでしょうが、患者はどうでしょう?
そんな訳にはいかないと思います
特に、男性医師と若い女性患者におおくみられるようです
患者ばかり全てが悪い訳ではなく主治医やカウンセラーも治療者の役割を超えて過度に熱心、献身的、おせっかいでありすぎなかったか?などの可能性を秘めています
そのカテゴリーの中に"父性転移"というものがあります
"父性転移"は読んで字のごとく、何らかの理由で過去に父親からの愛が不足していた場合その代償として、男性主治医に転移してしまうのです

ちなみに、"逆転移"という言葉もあります
これは、"陽性転移"の全く逆の意味です

なににしろ、人間を人間が直面して治していくのは大変だなぁと思う次第です

Posted by nmk at 2003年08月13日 20:17 | TrackBack
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